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その差は愛(河北新報3月19日掲載「前略早々 博士から博士へ」)
【コタニより】
オオスミ先生から「量子コンピュータ」というお題を頂いたのだろうか? シッポをパタパタ状態である。量子コンピュータは素人だが、私の研究には、量子力学の生みの親シュレーディンガーの名前のついた演算子が出てくる。量子力学についてなら何時間でも熱く語れる。ウ〜ン、ノーサンキューというオオスミ先生の顔が目に浮かぶ。 量子力学と日常的な感覚とのもっとも大きなずれは「観測をする」ことが状態を変えてしまうということではないか。例えば、位置と運動量、どちらかを観測した瞬間に状態が遷移してしまうから、両方を同時に知ることはできない。これを「不確定原理」と呼んでいる。 不確定性原理のもとになっている関係式AB-BA= iに関する数学仲間で有名なジョークは (鈴木さんの)(可愛い)奥さんと(可愛い)(鈴木さんの)奥さんの違いはi(愛)である、 など非可換な交換関係は日常生活にもしばしば見られるというもの。 量子力学における「重ねあわせ状態」を利用すれば計算のスピードが破格にあがるというのが量子コンピュータの数理である。しかし、現実に量子コンピュータを作るハードの問題はとてつもなく難しい。観測した瞬間に量子力学的状態は壊れてしまうので、量子コンピュータが計算している間に「観測」してはいけないのだ。「機を織っている間はけっして覗かないでくださいね」とおつうさんのようなことをいうので、外から完全に孤立した理想状態を作ってやらなくてはならない。オオスミ先生の参加した会議でも、ハード作りの技術の議論に熱が入っていたのは当然のことだ。 また聞きなので真偽のほどは定かでないが、人間の思考が現在のコンピュータと同じオン・オフの伝達だと考えると、いわゆる「ひらめき」に関しては、情報から答えを出す速度があまりに速すぎる。これを量子コンピュータと同じ理論で説明できないかなどという話もあるそうだ。この辺のことはむしろオオスミ先生の専門だ。
by norikoosumi
| 2006-04-02 12:54
| 河北新報往復書簡
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