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by norikoosumi
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鍋、焦がす?焦がさない?(河北新報3月26日掲載ー完ー「前略早々 博士から博士へ」)

【オオスミより】

 「生パスタパーティー」と称して、女ばかり五人で集まったときのこと、「鍋って焦げるよね?」と言われた。その発言の主がコタニ先生だったのか、別の先生だったのか、記憶に定かでない(アルコールの影響によると思われる)。
「えっ? 何でお鍋が焦げるの?」
「だって、火にかけた後、論文読み始めたりすると鍋ってすぐ焦げない?」
「うーん、お鍋の傍を離れるんだったら、タイマーとか、かけたりしない?」
「論文読むんだったら、お鍋の傍にしたら?」「手順が悪いのでは?」
 このとき判明したのは、「鍋を焦がさない派=実験をする」と「鍋を焦がす派=実験をしない」ということだった。
 「鍋を焦がさない派」の三人は、若いときから並行して二つ、三つくらいの実験をこなすトレーニングを積んでいる。したがって、鍋を火にかけつつ、さらに他の仕事を行うという素養がある。それに対して、「鍋を焦がす派」の二人は、一つのことを集中して行うという経験を重ねているのではないかと思われた。
 生物学の私のいるような分野では、仮説をもとに実験をして検証するというのがお作法である。そのために、朝から晩まで、場合によっては夜中まで、培養している細胞に何かの物質を振りかけたり、ネズミの生活時間帯に合わせて処理をしたり、というウェットな実験を行うことになる。かなり泥臭い労働だ。でも結局は、自分にとって至福の時間は生の試料に触っているときかなと思える。

【コタニより】

朝から晩まで,「仮説が正しい」ことを確かめるという点では同じ科学者なのに,オオスミ先生はマルチタスクを平行して行うという私から見たら神様のような技を持っている.一方,こちらは他のことを全て忘れて一つのことに没頭できなきゃダメという刷り込みがある.斯様に異なる二人だからこそ,おしゃべりが楽しいのだろう.いつも,意外な発見がある.この往復書簡は今日が最後.これからは,いつものワインバーでおしゃべりの続きとしましょうか.
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by norikoosumi | 2006-04-02 12:57 | 河北新報往復書簡
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